中距離種目の中で最も長い3000mは非常に過酷です。
スピードレベルもある程度高い水準をキープしているので、耐乳酸能力や持久力・スタミナが重要視されます。
また距離が長いので様々なレースプランやペース配分を用意する必要があります。
つまり練習の中で常に試合をイメージする専門的なトレーニングが求められます。
8分台や9分台を目標にしている選手は練習メニューにこだわりを持って取り組まないといけません。
今回は3000mに特化した練習メニューや1週間のサンプルメニュー、1ヶ月の練習メニューの組み方など幅広く紹介していきたいと思います。
この記事の目次
陸上競技3000m専門の練習メニュー
①ロングインターバルトレーニング
1000mx3本(rest:400Mjog)
1000mのインターバルトレーニングは3000mを分割した各区間で、構成されていると考えてください。
3000mは持久力を鍛えるだけではなく、速いスピードを長く持続させるスピード持久力(筋持久力)を鍛えることも重要です。
それは前半型の選手も後半型の選手も同じです。
スピード持久力を鍛えるには、距離を長く設定したロングインターバルがおすすめです。
距離に関しては1000~1500mの間で設定するようにしましょう。
インターバルはレース同様のペースのように速いペース設定で走るトレーニングのため、レース同様に筋肉内に大量の乳酸が発生します。
インターバルは乳酸の発生に耐える能力を鍛えることができるため、速いスピードで走っても長くスピードを維持するスピード持久力の強化に最適といえるでしょう。
下記は自己ベストとインターバルトレーニングの参考タイムです。
9:00 | 9:30 | 10:00 | 10:30 | 11:00 | 11:30 | 12:00 | |
設定 | 3:02 | 3:12 | 3:22 | 3:32 | 3:42 | 3:52 | 4:00 |
特に3000mの場合は練習メニューとして1000mx3本のロングインターバルがおすすめです。
1本のペースを3000mのレースタイムに設定し、つなぎは400mジョグで3本実施します。
目標タイムが9分台の場合は3分15秒~3分20秒に設定し3本実施します。
もちろん、初心者の選手ははそのペース設定で練習を回すのは難しいと思うので、徐々にそのペース設定でこなせるように段階的にペースタイムを引き上げていくようにしましょう。
600mx5本(rest:200Mjog)
600mはスピード練習の位置づけで行いましょう。
1000m同様600mインターバルも3000mのスピード持久力強化に効果的な練習です。
600mの場合は疾走時の距離が合計で3000mになるように本数は5本に設定することをおススメします。
つなぎのジョグは200mジョグをすれば、ちょうどトラック1周になります。
1000mインターバルにプラスして、600mインターバルも混ぜながらインターバルの距離設定に変化を持たせた方が様々なレースで対応できるようになります。
インターバルのトレーニング効果も高まるため、600mインターバルも定期的に取り入れて、練習にバリエーションをつけましょう。
9:00 | 9:30 | 10:00 | 10:30 | 11:00 | 11:30 | 12:00 | |
設定 | 1:50 | 1:55 | 2:00 | 2:05 | 2:10 | 2:15 | 1:40 |
1000m同様に、600mの場合もペースは目標のペースタイム或いは現在の持ちタイムのペースに設定します。
現在の自己ベストに合わせて設定タイムを決めましょう。
②ショートインターバルトレーニング
200mx10本(rest:100Mjog)
中距離種目のスピード練習には200mを中心に行うと良いでしょう。
3000mはスタミナ、スピード持久力とともに「スピード」を強化することも重要視されます。
特にLSD(ロングスローディスタンス)やジョグ、ペース走といったスタミナ系・純粋な持久力を鍛える練習が中心となっている選手の場合は、スピード練習を多く取り入れることで3000mのタイムを大きく伸ばすことができます。
トップスピードが高ければ、レースを有利に進められます。
また、前半型の選手もスピード練習を積極的に取り入れることで、自分の長所となるスピードを伸ばして、タイム向上を狙えます。
なるべく200mは最初から前傾して加速していくイメージを持ちましょう。
スピード強化にはショートインターバルが効果的です。
200mインターバルは疾走区間が短く、走るペースが速くなるため、直線に入った時に更にスピードを上げられるとトレーニング効果も飛躍的にアップします。
300mx8本(rest:100Mjog)
短距離のエッセンスが入った300mインターバルも3000mのスピード強化におすすめです。
200m同様に3000mを速いタイムで走るための絶対的なスピードを引き上げることができます。
300mは直線がバックストレートとホームストレートと2回あるので、この区間で切り替える意識を持ちましょう。
200mよりも距離が長いので、持久力の強化もできます。
400mx6本(rest:150Mjog)
距離を変化させることは重要です。
様々なレースに対応するためです。
200m、300m、400mとショートインターバルの距離を定期的に変えてみましょう。
同じ距離のインターバルばかりしていると、練習に対する慣れが出来てしまい練習効果が下がってしまいます。
そのため、200m、300m、400mと距離を変えながら取り組むことが大切。
400mインターバルはスピード強化、スピード持久力強化とともに、最大酸素摂取量の向上も期待出来る練習です。
③基本的なランニング系トレーニング(ジョグ、ペース走、ビルドアップ走)
40~60分ジョグ
10分前後走り続ける3000mのタイムを上げるためには、スタミナを強化する必要があります。
スタミナを鍛えるには、ゆったりとしたペースで走るジョグが効果的です。
ジョグは中長距離選手も基本中の基本となる練習で、長時間脚を動かし続けるための基礎的な脚力作り、肺活量を高めて有酸素運動能力の向上、長い時間・長い距離を走ることへの慣れといった能力を養うことができます。
3000mを走るための基礎的なスタミナを養う効果があるため、3000mを始めたばかりの選手にオススメです。
また、普段のジョグよりもゆったりとペースを走ることで、血行を促し筋肉疲労の回復を促進させるといったリカバリー効果もあり、練習のリフレッシュに最適です。
中学生で男子3000mに取り組む人は40~60分、高校生で女子3000mに取り組む人は50~70分を設定タイムとして取り組みましょう。
6000mペース走
スタミナの強化とともにLT値(血中乳酸濃度)の向上が期待できる練習が、ペース走です。
LT値は乳酸が急上昇するポイントで、ガクッとペースが落ちるタイミングを言います。
人それぞれLT値は違い、3000mが速い選手ほどLT値が高く、乳酸が急上昇するポイントが遅い分、速いスピードを長く持続させて走ることができます。
3000mのタイムを上げるためには、このLT値を向上させるトレーニングであるペース走が有効です。
下記は1000m毎の目標ペースです。
9:00 | 9:30 | 10:00 | 10:30 | 11:00 | 11:30 | 12:00 | |
設定 | 3:15 | 3:30 | 3:45 | 4:00 | 4:15 | 4:30 | 4:45 |
高負荷ランニングを継続することが自己ベストを狙う重要な練習です。
LT値を向上させるためには、LT値付近(限界スピードの70~80%くらい)のペースで走るペース走が効果的だと考えられています。
また、LT値のペースは体感的には、「少しきつい」と感じながらも、まだまだペースを上げる余裕があるペースです。
つまり最初から最後まで心拍数を上げながら一定ペースで走り通せるペースです。
実際にペース走をしてみて、途中でペースの維持が難しくなって、最後まで一定ペースで走ったとしても一杯いっぱいの状態になっている場合は、ペースが速すぎるので次回以降は設定タイムを落として練習メニューを組みましょう。
逆に、ペースが遅くて楽に感じる場合は、設定タイムが遅いため次回以降はペースを上げてみましょう。
5000mビルドアップ走
3000mはラスト1000mで急激にバテてペースを落とす場合があります。
そして3000mの終盤のバテを防ぐためにはビルドアップ走がおすすめです。
ビルドアップ走は一定ペースで走り続けるペース走とは違います。
400mごと或いは1000mごとにペースを少しずつ上げていくランメニューです。
最初はややゆったりとしたペースから入り、段階的にペースを引き上げていくことで、レース終盤でもバテないスピード持久力を鍛えたり、終盤でペースアップ(ラストスパート)できる粘り強さを養うことができます。
また、ペース走同様にスタミナ強化、LT値向上、心肺機能の向上が狙える万能トレーニングです。
ビルドアップ走をする場合は、ペース走のペースを基本にタイム設定します。
普段ペース走を4:00/kmで実施している場合は、そのペースを基準に考え、「4:20→4:10→4:00→3:50→3:45」のように、ゆったりとしたペースから入り、段階的に普段のペース走のペース近づけます。
中盤から終盤にかけてペース走よりも速いペースでラストスパートをかけていきます。
陸上競技3000m選手の1週間の練習メニュー
月:ロングジョグ80〜100分
火:ショートインターバルトレーニング200m×10本
水:ショートジョグ30〜40分
木:ショートインターバルトレーニング400m×7本
金:ペース走6000m
土:ビルドアップ走4000m
日:完全休養(リフレッシュ)
1週間の練習メニューの割合としては「スピード4」「持久力4」「技術2」のような組み方をします。
勿論、自分のレベルやコンディションに合わせて、距離や設定タイムを変更しましょう。
トレーニングは同じことを繰り返して少しずつ距離や設定タイムを追い込んでいきます。
少しきついと感じるくらいで練習メニューを考えましょう。
陸上競技3000m選手の1ヶ月の練習メニュー
3000m選手の1ヶ月の練習メニューは上記の1週間の練習メニューを繰り返します。
疲労が蓄積しないように、練習の強度をしっかり調整できるといいですね。
少しでも体に違和感を覚えたら、別メニューを用意したり、治療に専念したりしましょう。
長距離選手は練習時間が、距離が長いので必然的に、多くなってしまいます。
だから、練習の効率化は必須です。
レストの時間を短くしたり、行動スピードを速くしたりして、練習の効率を上げていく努力をしましょう。
徹底的な効率化こそが良い練習をする秘訣です。