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【短距離走バイブル】練習メニュー構築方法完全解体新書

陸上競技短距離種目には多くのトレーニングが存在します。練習メニューを考える上で、内容や時間配分、質と量、練習場所など様々な要素が存在します。

特に100m200m400mの短距離種目(スプリント種目)では技術練習や体力トレーニングに分けて、目的と効果を理解して、練習する必要があります。

中学生や高校生、大学生の部活動では集団で行うことが多いと思いますが、個人の課題はバラバラです。そのため、練習計画を明確にして、集団で練習を行う中でも、個人の課題をクリアする必要があります。

1年間を通した練習強度や負荷のかけ方、それに伴うスプリント動作への変換作業の繰り返しが陸上競技短距離走のトレーニング方法です。個人単位の課題を細分化して考えることが自己ベストへの近道です。

個人単位でバイオリズムも違います。バイオリズムとは週単位での調子(コンディション)です。どれだけ練習を完璧に積めていても、試合レース前の調整でミスをしたら自己ベストを更新できません。調整方法についてもパターンに分けてご説明します。

「シーズンを通してどの試合で自己ベストを狙うか?」「シーズン中はどれくらいの期間、休息をとるか?」「どのような練習目的でトレーニングに取り組むか?」など具体的な練習メニューを提示しながら解説します。

中学生高校生向けに、1年間を完全に網羅して短距離走のトレーニングメニュー(技術練習、筋トレ&ウエイトトレーニング、インナーマッスル、瞬発系&プライオメトリックなど)を幅広く参考にして頂けます。

【短距離種目100m200m400m】自己ベストを更新するための1年間の練習メニュー

導入期(専門的準備期)

練習の量を質に変換する期間になります。冬季練習ではスピードレベルを落として、走行距離を伸ばします。走行距離を伸ばすことで、対乳酸能力やタイム感覚を身体に覚え込ませるのです。3月と4月では、走行距離を短くして、スピードレベルを上げて、より実践的な練習を繰り返します。例えば12月から2月まで1日に2000m~3000m走っていたとしたら、3月からは1200m以下にして練習メニューを組むと良いでしょう。

距離と本数を絞って、質の高い練習へとシフトしていく重要な期間です。そして、気を付けたいポイントは怪我です。専門的準備期では、基礎体力を養う期間ではありません。養った基礎体力をスプリントに繋げていく期間です。そのため、スプリントレベルの高い瞬発的な高負荷がかかります。それにハムストリングスや大殿筋、内転筋が対応できずに、肉離れや筋膜炎を起こすケースが多いです。導入期ではゆっくりスピードを上げていくことを意識しましょう。

3月『量から質への変換』

気温的にはまだ寒いです。しかし、主要レースが5月に入ってくることが予想されるので、逆算して3月からは少しずつスピード練習に取り組む必要があります。最初からフルスピードを出すトレーニングではなく、神経系を刺激するラダー練習やウェーブ走などで、股関節周りの筋肉に素早い動きを覚えさせましょう。

筋力トレーニングはピラミッド方式に切り替えていきましょう。例えば60kg→70kg→80kg→70kg→60kgというようにピラミッドを描くように重量を操作します。この時期では85%くらいの重量が扱えるといいですね。勿論、ベストを狙っても大丈夫です。冬季練習の成長を感じられる大切なウエイトトレーニングにしましょう。

主な練習は、ウェーブ走30m+20m+30m+20m、バウンディング30m+ダッシュ30m、対乳酸走150m+100m、ボックスジャンプ、変形ダッシュ、450m走、ウエイトトレーニングなどです。

4月『最大出力の調整』

記録会などが始まってきます。シーズン初戦のレースが組まれると思います。ポイントは練習のつもりで試合に臨むことです。最も自分が結果を出したいレースにコンディションを合わせていきたいので、4月に調子を合わせるようなことはしません。自分が結果を残したいレースを明確にして、4月のトレーニングに取り組みましょう。

スターティングブロックの調整を練習に取り入れます。冬季練習ではスタートダッシュを専門的に行うことは少ないので、試合前に感覚を取り戻す必要があります。この期間では、加速走や250mや300mのタイムトライアルも積極的に練習に入れていきましょう。

導入期では乳酸系の練習が少なくなるので、週に1度は刺激程度で長い距離を入れておきましょう。長い距離が苦手であれば、プラス走で補います。インターバルは短めの30秒前後がオススメです。

主な練習は加速走10m+60m、ハードルジャンプ、テンポ走150m×3、スタートダッシュ40m~60m、マーク走100m~200m、プラス走200m+100m、タイムトライアル300m、ウエイトトレーニングマックス測定などです。

試合期

試合期は非常に長いです。1年の中で5か月もあります。ただ、5か月間でベストを出し続けることは難しいです。5か月の中でも2か月はタイムを狙った期間を作って、それ以外の月はトレーニングを積むことをオススメします。

例えば5月には県高校総体、各地インカレがあります。6月は日本選手権、7月は各地域選手権、8月はインターハイ、9月は日本インカレなど、世代によって主要レースは変わってきます。

試合期では自分がどのレースに合わせるかを、検討する必要があります。そして、準備期間でスピードやレース感覚を強化して、実践でパワーを発揮していきましょう。

5月『フラットレースでの実践』

主要レースが入ってきて、調整を行う選手も少なくないと思います。試合期の練習のポイントそして、中途半端な距離を走らないことです。例えば練習では300m以上か60m以下しか走らない制約を付けるようにしましょう。

200mは本数系の練習でよく利用されるので、試合期に使うことは少ないです。5月に必要な要素は「単発力」です。いかに1本の出力を高められるかがカギとなります。トレーニングでは、強制的にピッチを上げる牽引走がオススメです。また、チューブなどを使って、身体に細かい刺激を入れることで、ケガをしにくい身体になるので、練習前のウォーミングアップに追加しましょう。

主な練習はスタートダッシュ60m、スキップ30m+ダッシュ30m、加速走10m+100m、マックス走300m+100m、コーナー走60m×4、立ち五段跳び、ディセンド走60m(7.4秒→7.2秒→7.0秒)などです。

6月『スピードレベルの課題修正』

スピードにもかなり慣れてきたと思います。しかし、日本は梅雨でじめっと湿度の高い日々が続きます。十分にウォーミングアップをして、ケガをしないようにしましょう。故障の少ない選手は、ウォーミングアップで股関節周りの筋肉を大きく動かします。初めに股関節を動かすハードルドリルがオススメです。そこから、ミニハードルを使った動き造りやラダーを使った神経系の素早いトレーニングにシフトしていきましょう。

競技場での練習に加え、坂ダッシュを行います。坂ダッシュではシーズン序盤で出た課題を傾斜というアドバンテージを利用して克服します。例えば、腰が落ちてしまうフォームや接地感覚の改善を行います。

6月は試合期序盤の課題を改善して、試合期の後半戦に備える期間といえるでしょう。スピードに慣れた体で、次は技術を磨いていきましょう。例えば、コーナーの走り方やハードリングなど新しいことに取り組んでいきましょう。

主な練習はイーブン走200m+100m、ハードル往復走100m×6、分割走150m×3、オールアウト走50m+50m+50m+50m、タイムトライアルスタートダッシュ60m、マックス走350mなどです。

7月『ピッチとストライドの見直し』

非常に熱いシーズンになります。脱水症状を防ぐために朝食と夕食で梅干しを食べるようにしましょう。梅干しは塩分補給と抗酸化作用、クエン酸が豊富に含まれているので、バテないコンディションを作れます。また、日ごろからBCAAやEAAを摂取して、疲れにくいコンディションを心掛けましょう。

7月はスプリントで重要な要素「ピッチとストライド」にフォーカスする期間となります。オススメの練習はマーク走です。自分の適性感覚より狭くすることでピッチ、広くすることでストライドにアプローチします。100mの中間に10台のミニハードルを置いて、走り切ることで「ピッチとストライド」を強化していきましょう。

ウエイトトレーニングでは、クリーン、スクワット、ベンチプレスを中心に行います。できればウエイトトレーニングをする時は95%の重量を5回程度、挙上できるようにしましょう。レップ数は少なくても大丈夫なので、パフォーマンスを高い位置で維持させることを意識しましょう。

主な練習はマーク走100m(男子ピッチ180cmストライド195cm・女子ピッチ160cmストライド170cm)、イーブン走250m+150m、100m変形ダッシュ、100mバウンディング、100mホッピング、ウエイトトレーニング95%単発維持系などです。

8月『休養とトレーニングのメリハリ』

試合期の疲労が表れてくるのが8月です。9月で記録を出すために、8月は疲労を抜くことを意識しています。つまり単発でスピードレベルの高いトレーニングはしますが、他の練習はしないようにします。とにかく休息するようにしましょう。

プロテインやサプリメントを活用して、回復力を高めましょう。栄養補助食品を積極的に活用して、主事だけでは摂取し切れない栄養を摂りましょう。陸上競技は練習することで速くなるわけではありません。休むことによって、筋肉を成長させます。

メリハリのある練習を心掛けます。ウォーミングアップやテクニックトレーニングの時間を長くして、ランメニューの時間を短くします。なるべく炎天下にいる状況を減らします。

主な練習は加速走10m+100m、マックス走300m、フルディセンド60m×3(90%→95%→100%)、ミニハードルやラダーでのピッチトレーニング、ウエイトトレーニングマックス測定、立ち五段跳び、メディシンボール投げ、スピードバウンディングなどです。

9月『最大出力の向上』

10月にも試合はありますが、純粋にタイムを狙えるのは9月から10月の上旬だと思います。8月でしっかり疲労を回復させて、シーズン最後にもう一度ベストを出せるように調整していきます。

フィジカルは試合期を重ねて、コンディションの水準は高くなっているので、焦ってトレーニングを積む必要はありません。週に3日程度完全休養を入れても大丈夫でしょう。また、ハリ治療を入れて筋肉の緊張を和らげます。

練習メニューの組み方はスプリント中心でウエイトトレーニングは外します。記録を狙えるレースが残り少ないので、なるべく体重を減らして、レースに臨みます。その代わり、ランメニューでマックス測定ができるようにしましょう。

主な練習はスタートダッシュ40m~60m、対乳酸走150m+150m、200mウェーブ走50m+50m+50m+50m、乳酸スプリント300m+50m+50m+50m+50m、マックス走120m×3などです。

移行期

移行期はシーズン中に戦い抜いた身体を休めます。一応10月にも試合はありますが、なるべく早めにシーズンオフを迎え、次のシーズンに向けてトレーニングを積んでいきます。

期間としては2~3週間程度、オフ期間を設けます。その間は治療やストレッチ、プロテインやサプリメントは継続して続けます。一旦、陸上競技から離れてリフレッシュします。

毎日練習しているからこそ、思考方法や練習パターンがマンネリ化しているかもしれません。オフ期間はシーズンでの課題や冬季練習のテーマを考える期間となります。

10月『休養と球技』

移行期は陸上競技の練習はしません。最初の2~3週目まで完全休養にします。そこから徐々に身体を動かしていきましょう。

練習始めでは2000mジョグをゆっくりします。そこから動的ストレッチ運動やダンスなどで身体に新しい刺激を与えます。オススメはバレーボールやドッヂボールです。10月中はレクリエーション系の球技を中心に行いましょう。球技は身体のバランスを整える上で重要な運動になります。

主な練習はLSD(ロングスローディスタンス)、球技、ダンス、ヨガ、補強インナーマッスルなどです。

11月『距離に慣れる』

移行期の後半ではスピードレベルを最低まで落として、長い距離を走ります。シーズンの課題を修正するために、ゆっくりとしたペースで走ります。試合期の走りを忘れて1から組み立てていくようにフォームを作っていきます。

ウエイトトレーニングも60%の重量を10回×10~15セット行うようにします。挙上回数を増やして筋肥大を目的とします。冬季練習は体重を重くすることによって、より高負荷なトレーニングにしていきましょう。

主なメニューはペース走150m×5×3、200mバウンディング、1000m走、球技、補強インナーマッスル、ウエイトトレーニング60%回数系などです。

冬季練習(一般的準備期)

冬季練習は非常に過酷です。そのため、一つ一つの練習が雑になってしまうケースがあります。質から量にシフトしていく期間です。量を増やすことによって、持続的な負荷に耐えられる身体を形成します。一般準備期では基礎体力や筋力を総合的に鍛えて、身体のステータスを向上させます。

基本的な身体能力を高めることによって、筋力やテクニックだけで自己ベストを狙うことは十分可能です。山も土台が広くないと高くなりません。陸上競技も同じで、冬季練習は身体能力の土台を広げていくようなイメージで練習を積んでいきます。

基本的には反復練習を繰り返します。その中で、PDCAサイクルを繰り返して、理想の走りを追求します。またタイム設定をしっかり守って、ペース感覚を身に付けて、タイムを自在に操れるようにしましょう。できるようになると、冬季練習を有利に進められます。

12月『走り込みとフォーム修正』

本格的な冬季練習が始まります。基礎的な練習を中心に走行距離を伸ばしていきます。基本的にはランメニューの日で2000~3000mを週に2回以上走るようにしましょう。ペースは60~70%程度で大丈夫です。

ランニングの基本は「軸とリズム」です。接地したときに膝や腰が潰れないように、ポンポン弾むように走ります。地面からの反発を素直に推進力に変換して走れるようにしましょう。

反復練習の中で、必ず1つは課題を持って走るようにしましょう。練習の終盤では疲労状態で走りを意識することが困難になります。だから、1つだけで大丈夫なので、走りのどこを修正しているか考えて走りましょう。

主な練習は200m×10、シャトル走100m×10×3、150m×7×3、50mバウンディング+100mフロート、ウエイトトレーニング60%回数系、体幹インナーマッスル、チューブ、メディシンボール投げ

1月『追い込みと反復練習』

新年を迎えます。そして、冬季練習は後2か月しかありません。今月の目標は設定タイムの向上です。走行距離を変えずに設定タイムを1~2秒上げた状態で練習をします。練習の強度が一気に上がります。

また先月は200m中心でメニューを組んでいましたが1月からは250~300mでメニューを組みます。100m系も400m系も一緒に練習しましょう。長い距離をどうやったらリラックスして速く走れるかを考えます。

冬季練習は気温が非常に低いので、首&手首&足首を温めることで保温できます。筋肉を十分に温めないでメイン練習に入ると、スピードレベルが低くても怪我をするので気を付けましょう。そのためウォーミングアップでは股関節を十分に動かして、入念に動き造りをしましょう。

主な練習は200m×10、300m×3×3、200mバウンディング、サーキットトレーニング、ハードルジャンプ、マーク走100m10×3、ウエイトトレーニング60%回数系、体幹インナーマッスル、チューブ、メディシンボール投げ

2月『高い出力値での筋持久能力』

冬季練習で最後の月です。ここまでやってきたトレーニングの総仕上げに入ります。主な狙いとしては設定タイムを更に上げることで、筋持久力に負荷を掛けます。また、乳酸値が上がってきてからの動きを改善します。レース後半でピッチが落ちないように、「軸とリズム」を身体に落とし込みます。

反復練習の繰り返しは、明確な課題をクリアすることに適した練習方法です。動画をチームメイトに撮影してもらって、自分の走りを見つめなおしましょう。量を最高潮に高めるのが2月の練習です。

本数系やセット走では12月からの統計を記録しながら、自分がどれだけ設定タイムに対応できたか記録していきましょう。冬季練習は必ず練習メニューを記録して、練習満足度を上げられるようにしましょう。

主な練習は200m×10、300m×3×3、200mバウンディング、サーキットトレーニング、ハードルジャンプ、マーク走100m10×3、ウエイトトレーニング60%回数系、体幹インナーマッスル、チューブ、メディシンボール投げ

試合レース前の基本的な調整方法

14日前:テンポ走150m×3、スタートダッシュ

13日前:300m+200m+100m、スキップ30m+ダッシュ30m、治療

12日前:完全休養

11日前:完全休養

10日前:200m×4、ジャンプ系、治療

9日前:ショートダッシュ、イーブン走250m+フルスプリント50m

8日前:ウエイトトレーニング95%単発、プライオメトリック運動、流し

7日前;完全休養

6日前:完全休養

5日前:スキップ30m+ダッシュ30m、300m

4日前:テンポ走150m×3、スタートダッシュ、治療

3日前:完全休養

2日前:ジャンプ系、動的ストレッチ

1日前:ショートダッシュ、イーブン走250m+フルスプリント50m

☆試合当日☆

まとめ

陸上競技短距離の1年間の練習メニューをまとめました。メニューについては男子女子共通で部活動から社会人アスリートクラブに向けて記載してあります。

練習をする上で重要なポイントは『課題を探して改善作業を繰り返すこと』です。陸上競技短距離の練習は非常に地味です。だから、途中で飽きたり妥協したりすることもあると思います。その瞬間に自分を律して、1本1本切り替えて取り組みましょう。

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