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【フォーム分析】100m元日本記録保持者サニブラウン・アブデル・ハキーム選手はなぜ速いのか?

日本陸上界が大注目の100mスプリンター。2015年の陸上世界ユース選手権の200m決勝で、ウサインボルト選手が持つ大会記録を破り、一躍スターとなった選手です。

サニブラウン選手は1999年生まれ、身長188cm体重75kgの恵まれた体格で100m~200mをダイナミックに走っています。ガーナ人の父と元インターハイ出場選手の母の間に生まれました。高校は陸上競技界の名門城西大学付属高校へ入学し、東京オリンピックに向けた特別強化選手「ダイヤモンド・アスリート」にも選ばれました。

多くのタイトルを手にしてきたサニブラウン選手は2016年に大きな怪我をしてしまいます。そのシーズンは試合に出ることができませんでした。この悔しさをバネに、数々のメダリストを世に送り込んできたレナ・レイダーコーチの指導を受けるためフロリダ大学に進学します。

現在は日本人で2人目の9秒台を達成し、日本リレーメンバーの中核を担う日本陸上界を牽引する選手にまで成長しました。

自己ベスト100m9秒97(+0.8)、200m20秒08(+0.8)を持つサニブラウン選手のスプリントフォームを解説していきたいと思います。

サニブラウン 世界陸上ドーハ大会 100m

サニブラウン・アブデル・ハキーム選手の走り方を分析(日本選手権2019)

スタートの構え

4レーンがサニブラウン選手です。まず注目したい部分は腰の高さです。スタートの構えで大切なことは重心をなるべく高くすることです。スーパーボールで例えると分かりやすいです。高い位置から落とした場合と低い位置から落とした場合では、反発が大きいのはどちらでしょうか?勿論高い位置からです。

サニブラウン選手は高い腰の位置から大きな手足を振り出すので、スタートが非常にダイナミックに加速できます。また、腰をゴール方面に向けて前に倒すことで、倒れ込みの動作が協調できるように構えている部分も特徴的だと思います。

前脚の膝の角度は110度前後で、後ろ脚膝の角度はほぼ180度で真っすぐに構えています。そのため後ろ脚でしっかりブロックを蹴り込めるように工夫されていますね。

スタートの反応

反応にも非常にキレがあります。跳び出しの特徴として、僧帽筋の引き上げが優秀です。ピストルの音で肩甲骨回りの筋肉全体で、前に身体を引き上げることで、下半身が連動し、素早い重心移動を実現します。

また腸腰筋で高く脚を引き上げているため、「すり足走法」より大きなパワーでグングン加速しています。イメージとしては、膝から前に先行する走りですね!

一次加速(スタートダッシュ)

サニブラウン選手の特徴は長い加速区間です。通常の選手は30m前後で上半身が起き上がってしまいます。しかし、上半身を上から被せるように加速することで、前傾を維持して、加速区間を確保しています。

理屈的にはトップスピードを迎えるタイミングをゴールに近づけることで、減速区間を短くするという考え方です。スピードレベルが高い水準の状態でフィニッシュすることが100mの理想です。

軸が潰れないように、レース序盤では上半身が浮かないように、一歩一歩グングン加速していきましょう!



二次加速(スタートダッシュ)

40m付近でもまだサニブラウン選手は前傾しています。上半身の体幹が安定している証拠ですね。トップスピードを上げることによって、長所である長い手足を最大限に発揮できるランニングフォームと言えるでしょう。

また特徴として、腕を引き時のアクセントが印象的です。腕を前に出すときにアクセントしてしまうと、身体が後ろに沿って後傾してしまいます。サニブラウン選手は腕を強く後ろに引いて、上半身を前に倒すようにしています。

中間疾走

中間疾走ではストライドを開放して、本来の持ち味を発揮しています。また、接地時になるべく手前で接地することで、腰と脚を一直線にして、地面に強いパワーを加えています。

サニブラウン選手は過去、オーバーストライドを課題としていましたが、9秒台や10秒0台で走るレースは上からの乗り込みが綺麗にできているように思います。

ピッチを意識するのでも無く、ストライドを意識するのでも無く、「乗り込み」を意識することで、ピッチもストライドも向上するのです。

減速区間

加速区間が非常に長いサニブラウン選手は減速区間が短く、他の選手に詰められることは考えにくいです。レースの序盤で仕掛けておいた作戦が、後半で活きてきます。

ポイントはトップスピードの頂点をゴールに近づけることです。トップスピードを段階的に上げていくことがサニブラウン選手は上手いです。そのため、急なスピード変化による無駄な消費がありません。

結果、レース後半でも体力が残っており、トップスピードを維持することができます。

ゴール前(トルソーフィニッシュ)






トルソーフィニッシュでは、なるべくリラックスしましょう。多くの選手が胸部(トルソー)を前に突き出してフィニッシュしますが、この行為はゴール前の動作を緊張させます。

良いイメージはフィニッシュラインより10m先を駆け抜けることです。そうすれば、ゴール前で緊張しなくなるでしょう。ラスト3mでフォームが硬くなって、タイムを出せないのは非常にもったいないです。

常に先を見てレースメイクしていけると、ゴール前もリラックスして駆け抜けることができます。

まとめ

今回はサニブラウン選手のフォーム解説をしてきました。やはり9秒台のスプリンターは、他の選手と圧倒的に動きが違うことが分かったと思います。

最も大きなポイントは加速区間の長さだと考察しています。「トップスピードをどこで迎えるか?」ということが重要です。なるべく加速区間を長くして、減速区間を短くしてみましょう。

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